塾の教師をしていると、特にお母さまによく聞かれます。
「『宿題しなさい』とか『勉強しなさい』ってどれくらい言った方がいいんですか」と。
もちろん、人と人ですから、唯一の正しい答えはありません。ただ、塾業界では一般的にこうするのが良いだろうと言われている接し方があります。
理想的な親の接し方
親は勉強については一切口出ししない。衣食住を整え、受験における事務面のサポートに徹する。
これは、開成や慶應女子といった最上位の高校に合格する生徒とその親をたくさん見てきた私たちが肌で感じる、受験で成功する親御さんの共通点です。(もちろん、当てはまらない例もたくさんありますが、そういう傾向がある、ということです)
なぜ口出ししないほうがいいのか?
理由は簡単で、「親に勉強しなさいと言われても良い影響がないから」です。
それはなぜか、といえば、いくつかの要素があります。
- 前向きではない気持ちで勉強しても効果は薄いから。
- 親は自分自身の体験しか知らないから。
- 子どもにとって、家は安心して帰れて、自分の存在が肯定される場所であるべきだから。
1つ1つ詳しくご説明します。
勉強は前向きに取り組む必要がある
「勉強しなさい」と言われて机に向かって、何かを学び取ろうと本気になって勉強できるでしょうか。
机に向かいはしたものの、目線だけテキストを見ながら、親に言われたことへの反論を考える時間になってしまわないでしょうか。
学習効率というのは、本人のモチベーションに大きく左右されるものです。
子供は機械ではないので、機械的に机に向かわせればその分成績が上がるというわけではないのです。
「うちの子、机に向かっている時間は長いんですけど、なかなか成績が上がらないんです」といったお悩みを入塾面談で伺うことがちらほらあります。そういった場合、モチベーションが低く、義務感だけで机に向かっているケースが多いです。
親は自分自身の体験しか知らない
残念ながら、親が子供に指示する勉強の仕方は、あまりよくなかったり、その子にあっていないものであることがそれなりにあります。(とてもいいサポートをしてくださる親御さんもたくさんいらっしゃいます)
もちろん、悪気はなくて、「自分はそれでうまくいったから」と思ってされているのですが、親がうまくいったやり方で子もうまくいくとは限りません。
それに、親御さんが高校生や大学生のときに会得した「良い勉強法」を、中学生である子どもが実践できるとは限りません。その子の発達段階に見合った勉強法というのもあります。
勉強の仕方というのは、ほんとうにいろいろあります。ノートをきれいにとるのが合う人もいれば、そうでない人もいます。同じ問題を何度も解き直すのが合う人もいれば、新しい問題をどんどん解くのが合う人もいます。「いい勉強法」というのは、人それぞれなのです。
子どもの存在は無条件に肯定されるべき
これは子どもの精神面の健全な発達のうえで極めて大事なことです。そして、私の経験上、成績を伸ばすうえでも実はとても大事なことです。安心感というのは、やはりすべてを形作る基礎なのだと思います。
親が勉強に口を出し始めると、どうしても喧嘩になってしまって、子どももそれを拡大解釈して存在を否定されたように感じたりしてしまいますから、やはり親は勉強にはなるべく口を出さないに越したことはないのです。
うまくいかない場合
「そうはいっても、口出ししないと勉強しないんです」という声が聞こえてきそうです。笑
そんなときこそ塾の出番なので、塾のほうにぜひ相談してください。プロの技がありますので、その子にあった働きかけ方で、前向きに勉強できるようにしかけていきます。
ご家庭では勉強の心配はせずに楽しく接していただくのが一番いいと思っています。
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