慶應女子高校の入試の傾向と対策(含ボーダーライン)

 私は今までに直接指導してきた生徒を、30人以上慶應女子高に合格させてきました。女子の最難関ですから、受験生たちはみんな強い思いを持って受験に臨みます。その分、合格したときの喜びは、他校とはちょっと違う特別なものがあります。合格の報告を受けて、生徒と一緒に私まで泣いてしまったこともあります。

 その経験をもとに、慶應女子高に合格するために必要なことを書いてみたいと思います。

目次

一般入試について

ボーダーライン

 英数国300点満点中、190点程度(65%程度)で合格すると言われています。実際、過去の生徒たちに答案を再現してもらったときに、だいたいそれくらいのボーダーラインで合否が分かれています。さらに、各科目の内訳の目安は以下のとおりです。

  • 数学70点
  • 英語60点
  • 国語60点

 もちろん、人によって得意不得意はありますので、得点戦略は個人ごとに異なります。ただ、数学はやや簡単めに作られており、合格者はだいたい70点を超えてきています。

英国が得意な方が有利?

 業界内では、「慶女は英国勝負」とよく言われています。その理由は、上記の得点目安にあります。

 数学だけが飛びぬけて得意な生徒がいたとして、数学で90点取れたとしても、ボーダーライン+20点です。英語で20点負けたらチャラになってしまいます。

 英語だけが飛びぬけて得意な生徒がいたとして、英語で90点取れたとすると、ボーダーライン+30点です。数学で20点負けたとしても、まだ10点貯金があります。

 つまり、「数学が得意でもあまり差をつけられないが、英国はたくさん差をつける余地がある」ということです。

 ただ、あまり気にしすぎる必要はありません。数学を武器にして慶女に合格していった生徒はたくさんいましたから。自分のなかの伸びしろとしっかり向き合って、得点が伸ばせそうな科目を伸ばしていくことが大事です。

「得意2・苦手1」「得意1・ふつう2」を目指す

 「得意2・苦手1」というのは、たとえば「英国が得意で数学は苦手」という状態です。たとえば私の過去の生徒では、「英国70点・数学50点」という得点で合格した子がいました。得意科目が2つあれば、苦手科目1つをカバーすることができます

 大事なことは、「得意1・苦手2」という状況のまま入試に突入しないということです。

 慶應女子を目指し、最終的には合格を勝ち取っていくような生徒でも、やはり中2くらいまでは「得意1・苦手2」になっている生徒が多いです。そこからいかにして「得意2」の勝ちパターンに持っていくかが合格率を高めるうえでの大きなポイントになります。

各科目ごとの対策

英語

 英文自体はそんなに難しいということはありません。ただ、精度高く読めていないと解けない設問が多いです。→限られた時間の中で、英文をスピーディかつ正確に読めるように分量多く訓練していく必要があります。

 また、英問英答の英作文があります。こちらはやはり、専用の練習が必要でしょう。書きづらい題材のこともありますから、いろいろな題材で練習しておく必要があります。

 リスニングはここ5年間出ていません。

数学

 問題自体の難度は、他の早慶附属と比べてはっきりと易しいです。といっても、他の早慶附属が難しすぎるだけであって、これくらいの難度が受験生の力を測るうえでは適正と思われます。その分、平均点は高いですから、数学がからっきしだとそれだけで落ちてしまう可能性があります。

 問題の傾向は安定しており、小問集合、論理的思考力を問う問題(整数や場合の数)、関数、平面図形、立体図形の5題から成ります。また、その中でもよく問われる分野は決まっています(※)ので、そのあたりがしっかりと分かっている先生のもとで集中的に対策すれば数学が苦手でも何とかなりやすい試験です。

 ※関数は60度を持つ図形と絡めた出題が多い、立体は切断が多い、など。

 作図・証明は長らく出ていません。

国語

 文章は中学生には読みづらいものが多いです。

 記述問題については、一定の傾向があります。「解答に盛り込むべき複数の要素の吟味」や「換言」といったスキルを慶應女子高に合わせてチューニングしていく必要がありますが、これは自学自習で磨くのは至難の業です。書いたものを1対1で添削してもらうのがもっとも効果が高いです。

 細かい知識を問われる問題もありますから、付け焼刃ではなかなか対応できません。

 品詞分解の問題が毎年出ていますので、確実に対策しておきたいです。

作文

 合否にどの程度の影響があるのか公表されていません。私の過去の合格していった生徒でも、作文に大量の時間をかけて対策したという例はありません。

 ただ、中学生が自分が書いた作文の良しあしを自分で判断するのは不可能ですから、5本くらいでもかまわないので、「書いた作文をプロの目で見てもらう」という経験を積むことが重要です。

 英数国の勉強に時間を注ぐべきであることは間違いないので、作文対策は最短のチューニングで手早く済ませたいところです。

夏~秋に過去問を解いた場合の得点率

 夏~秋(8月、9月、10月、11月)にかけて、初めて慶應女子の入試問題を解く生徒が多いと思います。過去の合格した生徒の例でいえば、ほとんどの場合、夏や秋の時点で合格点は取れていません。入試本番では余裕を持って合格していった生徒でさえ、です。

 最終的に合格する生徒でも、9月、10月に数学の過去問を解いて、30点とか40点という点数を取ってしまうことはザラにあります。そこからどうしたら伸ばせるのか、というのは、…企業秘密です(笑)

推薦入試について

 私の教え子で、推薦入試に合格した生徒も何人かいます。ただ、一般入試でも当然受かるでしょ、という子がほとんどです。

 東京中の同学年の才女が集まって、上位30人が選ばれるわけですから、「内申ALL5で帰国子女で何かのコンクールで入賞して…」みたいな人たちとの戦いになります。

 過去、推薦入試に合格した生徒たちは、ふつうに一般入試に向けた勉強を続けていました。棚からぼたもちのような感覚で待っている方が精神衛生上好ましいように思います。

 なお、慶應女子高の推薦入試は、2024年度入試から定員が10名拡充されて、20名→30名に変更となっています。

 ただ、これは以前からの実態(定員より多めに合格を出していた)に合わせた変更であり、実質的な変更ではないと言われています。

一番大事なこと

 最後になりますが、慶應女子高校に逆転合格する生徒は、例外なく「慶應女子高校に入学したいという気持ちがものすごく強い」生徒です。

 高校入試、特に慶應女子高校の入試は、努力が実を結びやすいです。私は過去、中学受験でマーチレベルの学校に落ちてしまった子を、高校受験で慶應女子高に合格させたことも何度かあります。

 そういう子たちは、模試の結果が返ってきて、成績が悪くて涙が止まらず、でも泣きながらでも勉強している、そういった子たちでした。

 もちろん、だれしもモチベーションを保つのが難しかったり、心が折れそうになる時期もあります。そういうときに、周りの大人たちがいかに伴走して支えてあげられるか、というのもまた重要です。

 本気で慶應女子高を目指したい方。ぜひCPLAの個別指導で一緒に走り抜け、女子最難関高校の合格をつかみ取りましょう

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